【金融事故速報】ドル連動のステーブルコイン「UST」が崩壊し、一時0.21ドルまで下落

こんにちは。デフィー弐号です。

Terraというブロックチェーン上で発行されている「UST」という1ドルに連動させているステーブルコインが存在します。

しかし、界隈をウォッチしている方であれば既にご存知かもしれませんが、2022年5月10日前後よりその連動が外れてしまい(デペグする、という)、5月11日には一時0.21ドルまで下落するという事件が発生しています。

この記事を執筆している時点でも0.5ドル程度の低水準で取引されており、本来の目的である「1ドルと同じ価値を維持する」という目的が達成できていない状態となっております。

Terraには「Anchor」と呼ばれるレンディングプラットフォームが存在しており、常に年利20%前後の高水準の利率を維持しておりますので、弐号もここで運用していたのですが、今回のデペグにより多少ではありますが損害が発生しています。

この記事をご覧の方で影響を受けている方もいるのではないでしょうか?

デペグの原因

問題は現在も進行中であり、デペグの根本的な原因はまだ不明ではありますが、ある噂によると悪意を持った攻撃者が大量にUSTを市場で売却することにより、1ドルを割る価格を記録させることで市場の混乱を誘発し、それにつられてしまったユーザがパニック売りをすることによって更に下がってしまったUSTを安値で買い戻すことで利益を得ようとして発生させたのではないか、と噂されています。

例えば1ドルで100億USTを一気に売却し、0.5ドルほどで買い戻すことができれば差額の50億ドルが利益となりますので、(多額の資金が必要とはなりますが)攻撃者にとってはかなり美味しい結果となったのではないでしょうか?

こういった行為は株式市場では「相場操縦」と呼ばれており、価格を操作することを意図的に行った場合には刑事罰を受けることになりますし、また為替などではそもそも規模が大きすぎて機関投資家などでも資金力的にそういった価格操作は難しい(たまに成功しますが、すぐに戻すので、「フラッシュクラッシュ」と言います)のですが、USTはまだ成長中の通貨ですので、おそらくビットコインなどの値上がり益で大量の資金を既に得ていた投資家が攻撃を仕掛けたのだと考えられます。

USTの今後

USTはTerra上の一種のネイティブ通貨となっており、USTのペグ回復はTerraエコシステムにとって喫緊の課題となっており、Terraのチームはペグの回復に向けて尽力しているとのことです。

しかし、USTの価格を回復させるためには大量の資金を調達し、安くなってしまったUSTを買い上げていくぐらいしか現実的な解決策はないため、すぐには復旧させることは難しいのではないかと考えております。

TerraではLUNAというネイティブ通貨を発行しているのですが、その価格も一時20分の1ほどまで下落するなどしており、現在も安値圏にいますので、LUNAでUSTを買い上げる(Terraには「マーケットモジュール」といって、USTの価格を安定させるためにLUNAとUSTを交換できる仕組みがあります)のも厳しい状態です。

一方で、USTはTerraの根幹を担う暗号資産(仮想通貨)ですので、Terraの関係者は一丸となり、いずれ何らかの方法でペグ回復を果たすものと私は考えております。

ただ、状況は非常に流動的であり、余談を許さない事態ではありますので、下手にUSTやTerraまわりに手を出すとやけどをしかねないため、読者の皆さんは状況が安定し、しばらく経過するまではなるべく手を出さないのが得策なのではないかと考えております。

既にUSTを保有してしまっており、損失を受けてしまった方は、いまの値段で損切りをするか、状況が回復するのを神に祈って放置するかの二択になるでしょう。

なお、弐号は状況が改善することにベットしており、安値でUSTを仕込んでおります。(※かなりハイリスクなのでおすすめはしません)

USTおよびTerraの環境はまだ数日から数週間は不安定な状況が続くと予想しておりますが、なにか進展がありましたらまたこのブログで情報を公開していきたいと思います。

※追記①:状況を把握するために主にずっと関係者のTwitterを監視していましたが、ペグ回復の見込みがないと判断しましたので、5月14日に0.2ドルで全USTポジションを損切りしました。これにより、弐号はそれなりに損失を発生させてしまいましたが、今後こういった事故があった際には判断を誤らないようもう少し慎重に動きたいと思います。

※追記②:USTのデペグで溶かした資金の大半はAnchorというレンディングプロトコルで利殖して得られたUSTでした。これを定期的にきちんとより安全なステーブルコインへと交換していなかったのが主な敗因です。運の悪いことに会社の決算月を超えた直後(※税金計算の簡略化と節税のために法人名義で利殖しています)に事件が起きてしまったため、USTの崩壊前に計上した利益分の税金を無駄に支払うだけ支払って終わることになりました。残念。

おまけ:デペグリスクの回避方法

今回不運にも損失を被ってしまった方も、そうでない方も、ドルステーブルのデペグリスクはどのコインでもかならずつきものであり、常にデペグリスクを懸念しながら資産運用をする必要がります。

おまけ的な内容にはなりますが、ここではいくつかデペグが起きても損失が発生しない(最小限に押さえられる)方法を紹介したいと思います。

保険に入る

ステーブルコインがデペグしてしまった場合に、損失を補填してくれる保険商品というのが(まだ数は少ないですが)いくつかでており、それに加入するというのが一つの手です。

たとえば「Unslashed」というサービスではUSTのデペグ保険を年率7.5%程度で提供しています。

https://app.unslashed.finance/cover

保険料としてはかなり高額ではありますが、Anchorなどで20%で運用できれば差額の年率12.5%で運用できますので、収益は下がってしまいますが、安心材料として加入しておくというのは一つの手でしょう。

レンディングサイトで借入をする

USTを交換所などで買ってしまうのではなく、よりデペグリスクの低いと思われるドルステーブルコインやビットコイン、イーサリアムなどを担保にしてレンディングサイトでUSTを借りるようにすれば、借入額と相殺してネットではゼロ・ポジションになりますので、デペグのような金融事故が起きたとしても被害を防ぐことができます(ただし、運用で増えていった分のステーブルコインの下落についてはカバーできません)。

弐号もUSTのデペグリスクを恐れてVenusApricotなどでビットコインを担保にして借入をした上で、Anchorで運用をしていました。

ただ、こちらも保険と一緒で借入利率が8%前後でしたので、やはりリスクヘッジをするためには保険と同様にそれなりのコストがかかることにはなります(なお現在はいわゆる「取り付け騒ぎ」が起き、貸し手が資金を抜きまくっているので利率は非常に高くなってしまっています)。

おわりに

繰り返しになりますが、USTの金融事故は現在も継続中の案件でありますので事態が落ち着くまで継続的な情報収集はかかせません。

今後情報のアップデートがありましたらまた記事にしたいと思います。

それではみなさん、くれぐれも事故に巻き込まれないように注意してDeFIRE生活を送りましょう!

ではでは!

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