Osmosisの理解を深める 前編

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はじめに

こんにちは、デフィー伍拾伍号です。
本記事では、Cosmosエコシステムにおいて、多額の取引高を有するDEXのOsmosisについてその理解を深めます。前編では、Osmosisの具体的な解説をする前に、Cosmosに関連する基礎的な内容について理解を深めます。その後、Osmosisの概要や他のDEXと比較した際にどの点が特筆すべきかなどを現在DEXが抱える問題について抑えながら、概観します。Osmosis は、独自のチェーンとして、OSMOのステーキング、MEV耐性、他のCosmos アプリチェーンとの相互運用性など、数多くの独自の機能を提供しています。

Cosmosとは

さて上段でも述べたように、ここからは、Osmosisの具体的な解説に入る前にCosmosの概要について簡単に説明します。いわゆるEthereumやPolygon、AvalancheといったEVMに互換性をもつチェーンでは、DEXがそのチェーン上に構築されるというのが一般的であると思います。一方でOsmosisはそれ自体がブロックチェーンとして機能しています。

(補足 : Osmosis自体はチェーンなので、結局その上にOsmosis DEXというDappが構築されているという表現が最も適切かとは思います。)

まず注意点として、基本的にCosmosというチェーン自体は存在しないという考え方をすべきです。我々がATOMと呼ばれるネイティブトークンを用いて取引を行うチェーンはCosmos Hubと呼ばれるチェーンです。Cosmos hubは、Inter Blockchain Communication(IBC)に対応するIBCのハブブロックチェーンです。加えて、Cosmos SDKとはCosmos Networkを簡単に立ち上げるための開発者向けツールキットのことを指します。このCosmosSDKは、Tendermintコンセンサス エンジンで実行されます。そしてそのCosmos Networkは、Cosmos SDKをベースとしてIBCを通信規格に採用しているチェーンのことを指します。したがってOsmosisは、Cosmos Networkの一種であると考えて差し支えありません。


引用元:cosmos

最後にIBCについてですが、これはブロックチェーンをまたいでトークンを送信する仕組みであると考えることができます。例えば、チェーンAとチェーンBがIBCを用いて通信を行う場合には、通信を仲介するリレイヤーと呼ばれるノードが用いられます。チェーンAが、チェーンBのライトクライアント)をそれぞれの内部で立ち上げることで、リレーされてきたチェーンBのデータの正当性を検証します。

Osmosisの概要

Osmosisは、Cosmos エコシステム上のCosmos networkのブロックチェーンです。Osmosis アプリチェーン上に構築されたOsmosis DEX は、Cosmosエコシステム上で最も人気のあるDEXの一つに数えられます。Osmosisは、Cosmos Networkの主要な流動性ハブとして機能し、毎日数百万ドルの取引量を処理する Osmosis ネットワークは、6 億 5,000 万ドルを超える TVL を保有します。またそのうち1 億 7,500 万ドルが Osmosis DEX にあることはOsmosis DEXの優位性を如実に表す数字と理解できます。

既存のDEXが抱える問題

DEXは中央集権的な型取引所と比較して、大幅に改善されていますが、依然として多くの問題を抱えています。まず第一にはブロックスペースの問題が存在します。EthereumやSolana、Arbitrumといった多くの汎用的なブロックチェーンにおいて、Dappsはネットワーク上の他のすべてのアプリケーションとブロックスペースをめぐって競合します。例えば、Ethereumで生成されるブロックの中身を確認すると、Uniswapに関連するトランザクションも存在すれば、Aaveに関連するトランザクションも存在します。

これは、特に時間の経過とネットワークの肥大化に伴い、ガス代の上昇とトランザクションの速度の低下を引き起こす可能性があります。実際にEthereumでは莫大な量のトランザクションがあり、ブロックタイム(ブロックが生成される時間)の長さが他のチェーンにと比較して長いため、ガス代の上昇と送信したトランザクションがブロックの含まれるまでの時間が長くなっています。UniswapなどDEXが抱える問題を踏まえると上記の問題は喫緊の課題であります。

Uniswapの場合には、Uniswapの開発者がアプリケーションに何らか追加の仕組みを付与することで上記の問題を低減することは可能です。つまりアプリケーションのレベルでの柔軟性が高いと言えます。一方ネットワーク レベルでのカスタマイズは極めて難しいでしょう。例えばUniswapで、ブロックタイムが長いことにより、問題が生じているので、ブロックタイムを短くしましょうという提案は、Ethererumがやすやすと受け入れられるものではありません。

これらは、アプリケーションを構築するチェーンのセキュリティ、ガバナンス、および一般的なインフラストラクチャーによって制限されるでしょう。アプリケーションは、同じチェーン上の他のアプリ/ユーザーとのみアクセス、対応ができます。(補足 : ブロックタイムの問題に関してはDEXに限らず、多くのDappsにとって望ましい性質があるため、ブロックタイムを短縮する提案が採択される可能性があります。ここで述べたいのは、一つのアプリケーションの一存で、そのベースとなるネットワークの仕組みに何らかの影響を与えることは極めて難しいのではないかということというものです)

Osmosisの詳細 Part 1


引用元:Osmosis

Osmosis は、汎用的なL1ブロックチェーン上のアプリケーションとして存在するのではなく、アプリケーション固有の Cosmos ブロックチェーンです。Osmosis DEX には、他のチェーンから完全に独立した独自のカスタム基盤ネットワークとバリデーターセットがあります。つまり、Osmosis ネットワークは、Osmosis DEX に対応するように設計されています。Cosmos IBC を使用すると、Osmosis は他のすべての IBC チェーンと相互運用可能で、IBC エコシステムの他の部分との接続を維持しながら、単独で動作できます。Osmosis ネットワークは、先に述べたようにツールキットであるCosmos SDKを使用して構築され、アプリケーションチェーンは、特定のアプリケーションに特化して調整されたインフラストラクチャで構築されたレイヤー 1 ブロックチェーンです。簡単に言えば、アプリチェーン開発者は、dApp のニーズに合わせてネットワーク レベルの機能をカスタマイズできます。Osmosis の場合、チェーンは Osmosis DEX と、それに関連して構築された他のスマート コントラクトを管理するために構築されます。

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