こんにちは!弐号です。
みなさんは「フロントランニング」という金融用語を聞いたことはありますでしょうか?
フロントランニングは伝統金融でも発生する可能性のあるある種の不正取引であり、金融商品取引法(金商法)によって禁止されています。
このフロントランニングでは特にブロックチェーンを用いたDeFiでは本質的に避けることのできない攻撃手法となっています。
この記事ではフロントランニングとはなにか?を解説し、DeFiにおけるフロントランニング手法をいくつか紹介しようと思います。
伝統金融のフロントランニング
フロントランニングを簡単に説明すると、顧客の注文を受けた証券会社(など)が、その注文情報を元に顧客の注文より先回りして不正に注文を発注することによって利益を上げる不正取引のことです。
これだけ言われても何のことかわからないと思いますので、例を挙げて説明しましょう。
まず、ザラ場において以下のような板状況となっていると仮定します。
売気配 | 株式数 | 買気配 |
---|---|---|
1,200 | 100 | |
1,100 | 500 | |
1,000 | 500 | |
500 | 990 |
このとき、顧客は1,000株の成行による買い注文を発注したとします。
特に何もなければ、1,000円および1,100円の売り注文と約定し、平均取得価格1,050円(売買代金1,050,000円)で約定することができます。
しかし、この注文を受け取った証券会社が、顧客の注文より先回りして、1,000円および1,050円の売り注文を買い上げ、1,190円で1,000株の指値の売り注文を発注したとします。
そうすると、気配値は
売気配 | 株式数 | 買気配 |
---|---|---|
1,200 | 100 | |
1,190 | 1,000 | |
500 | 990 |
となります。
そうすると、顧客は1,090円(売買代金1,090,000円)で約定することとなります。
先回りした証券会社は、平均取得価格1,050円(売買代金1,050,000円)で購入を行い、その後すぐに1,090円(売買代金1,090,000円)で売却を行うことができます。
そうすると、顧客は40,000円分余計に支払うこととなり、逆に証券会社は40,000円をリスク無しで手に入れることができます。
このように、顧客の注文に先回りして不正に発注を行うことで不正に証券会社が利益を上げることをフロントランニングといいます。
これは、明らかに顧客の注文を唯一知ることのできた証券会社のみが実行できる、顧客に対して不利益をもたらす不正取引となりますので、金商法で禁止されています。