Synthetixの理解を深める 前編

サムネイルの引用元:Synthetix

はじめに

こんにちは、デフィー伍拾伍号です。本記事では合成資産の発行プラットフォームであるSynthetixについて、その概要や具体的な仕組み、課題などを解説します。まず前編では、Synthetixについて詳しく、そして後編では、Synthetixエコシステムを形成するKwentaやLyraなどについても簡単に概観します。もちろん両者はそれぞれプロダクトとして独立していますが、相互に関連しSynthetixエコシステムをより強固なものとしています。

Synthetixの概要とその仕組み


引用元:Messari
Synthetixとは、分散型金融(DeFi)プロジェクトの一つで、Synthetixが発行するネイティブトークンのSNXを担保として合成資産であるSynthを発行します。Synthetixは現在、EthereumとOptimismでそのプロトコルが稼働しています。

ユーザーは、Synthetixプラットフォームを通じて、sBTCやsETHといった暗号資産だけでなく、例えばsEURといった為替など、現実世界の資産にもアクセスすることができます。一般に上記の仕組みは、ドルならドル、ユーロならユーロ、金なら金というように実際にそのアセットをカストディアンが保有し、管理しています。Circleが発行するUSDCなどはこれの最たる例です。

しかしSynthetixではプロトコル上の SNX トークンをロックするだけでその取引を執行でき、またアセットへのエクスポージャーはありません。その具体的な仕組みについて、SynthetixではオラクルとしてChainlinkを採用し、リアルタイムで価格を反映して合成資産を生成します。これによってユーザーは、現実世界の資産を売買することができるのです。では、そのSynthがキチンとペグを維持する方法としてまず、アービトラージが挙げられます。

SNXのステーカーにとって、Synthを生成することは債務を負うことと等しいわけです。よって、例えばsUSDのペッグに下乖離が発生した場合、プロトコル上では常に 1 sUSD が 1 ドルに等しいため、sUSD を低価格で買い戻し、バーンするインセンティブがあります。なぜなら上記の行動をすることでユーザーは、負債を減らすことができるからです。

では、実際にSynthetixにおいて、sUSDを発行する手順を確認します。先ほどから述べているようにユーザーは、ステーキング機能を通じて担保として SNX トークンをステーキングし、Synthを発行することができます。現在のSNXの担保比率は500% と非常に高く設定されていますが、この担保比率に複雑な点があるためです。以下でさらに解説を加えます。

担保比率


引用元:QuickNode
Synthetixにおいて、担保比率 (C-Ratio) は、ステーキングされたSNXの価値とその負債に基づいて動的に変化するのです。具体的には、負債は、Sythetixエコシステム上のトレーダーのパフォーマンスによって変化するのです。例えばトレーダーが利益を上げている場合には、負債は増加し、そうでない場合に負債は減少するのです。担保比率について、 Synthetixのドキュメントに挙げられている例を参考に理解を深めます。

まずユーザーAがSynthetixの負債のプールの10%を占めていたとします。つまり負債プールの全体が 100,000 である場合、ユーザーの負債は 10,000になるわけです。そしてSythetixプラットフォーム上で、例えばトレーダーが利益を上げ、負債プールが 200,000 に増加した場合、ユーザーAの負債は 20,000 になるのです。一方トレーダーが取引に失敗して、負債プールが 50,000に減少した場合、ユーザーの負債は 5,000になります。従ってSynthetixにおける担保比率の計算は、以下のようになります。

担保比率 = ドル建て負債価値 /ドル建てのSNXステーキング価値 * 100

注意しなければならないのは、例えばDAIやLUSDなども合成資産であり、sUSDと大きな変わり映えはしません。しかし担保比率に関してユーザーが気にしなけばならないのは、ETHなどの担保資産の価格だけです。これはSythetixではSNXの価格にあたります。一方Synthetixでは、トレーダーの取引状況によって変化する負債プールの動向にも注意が必要なのです。SNXの価値と負債プールの価値は常に変動するため、それに応じて担保比率も変化します。

Synthetixでは、目標となる担保比率が500%と、非常に高く設定されています。加えてステーキングにより、ユーザーはプラットフォーム上で支払った手数料の一部を受け取ることもできるのです。しかしそれは担保比率に応じて、得られるステーキング報酬が異なります。したがって清算比率が160%に設定されているからといって単純に担保比率を下げすぎると、そもそも清算のリスクに直面するほか、ステーキングによるリターンを最適化できません。

清算

さてSynthetixにおける清算の仕組みについても、解説を加えます。清算の仕組み自体はAaveやCompoundなど一般的なレンディングプロトコルと変わりませんが具体的な内容や条件は大きく異なるので理解をする必要があります。Synthetixにおいてステーカーは、その担保比率が清算比率を下回ると、清算の対象となります。

具体的に担保比率が清算比率を下回ると、ユーザーには、担保比率を引き上げるまでに、6時間の猶予が与えられます。そのまま担保比率が下回り続けると、清算が発生し、ステーキングされた SNXに対して 60%の清算ペナルティが課せられます。

そしてレンディングプロトコルと同様にSNXは債務の返済に使用され、ペナルティとして徴収されたSNXは、他のSNXステーカーに分配される仕組みとなっています。もちろんsUSDをバーンする、もしくはSNXを追加でステーキングし、ユーザーの担保比率が500% を上回れば、清算は発生しません。

Synthetixにおいて担保比率の計算は、レンディングのそれより、複雑なため、注意をしなければならないほか、ペナルティも重く設定されているため、ユーザーには余裕をもった運用が求められます。

まとめ

本記事では合成資産の発行プラットフォームであるSynthetixについて、詳しく解説してきました。Synthetixは、仕組みが複雑な点もありますが、似たプロダクトとしてGMXを当てはめるとより理解が深まるかと思います。また続く後編では、Synthetixエコシステムに注目し、それを構成するKwentaやLyraなどについて、またSynthetix v3のアップグレード点などにも言及します。

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