HyperliquidはDEX(DeFi)か?

こんにちは!
弐号です。

大規模なエアードロップもあり人気を博しているHyperliquid(通称:ハイリキ)ですが、公式的には非中央集権取引所(DEX)であると謳われています。

しかしながら実際のところ、非中央集権的な要素は少なく、実質的に中央集権取引所(CEX)ではないかと思っています。

このことを先日 X にてポストしたところ、かなりの反響を得られました。

そこで本記事では、Hyperliquid がなぜ CEX であると思うのか、また実質的に CEX であることが何の問題があるのかを解説したいと思います。

なお、Hyperliquid の概要についてはこちらの記事で解説されていますので、Hyperliquidって何?という方は先にこちらの記事をお読みください。

目次

CEXであることの問題点

法規制

CEX に関してはマネーロンダリングなどの犯罪行為を防ぐために、多くの国で厳格な KYC(本人確認)などが要求されます。

日本では金融庁の指導のもとで業登録と規制対応が必要となりますし、アメリカでも KYC が甘くマネーロンダリングなどに利用されてしまうと経営者が法的責任を問われることが多々あります。

Hyperliquid には口座開設といった概念がなく、Arbitrum チェーン上の USDC を入金すればなんの本人確認もなく使えてしまいます。

そうすると将来的にマネーロンダリングの幇助などの理由で運営者が法的責任を追求されてしまい、運営が立ち行かなくなってしまう可能性もあるでしょう。

もっとも、DeFi であれば KYC などの対策が不要であるかというと微妙なところでありますが、現時点では黙認されているのが現状かと思います。

Proof-of-Reserves (PoR) の欠如

いわゆる FTX 事件を受けて、多くの取引所は PoR と呼ばれる自己監査を定期的(多くは一ヶ月ごと)に行っています。

これは顧客の残高を足し合わせたものと同額か、それ以上のコインを取引所がきちんと保有しているかを確認する非常に重要なものとなっています。

Hyperliquid では Arbitrum 上のブリッジコントラクトにすべての顧客資産がロックされており、保有している USDC の数量は把握できますが、これが顧客の総残高と等しくなっているかは確認する手段が提供されていません。

もっとも、Clearinghouse State と呼ばれる公開 API エンドポイントが用意されており、Hyperliquid を利用している全ユーザのアドレスに対してこの API を呼び出し、残高を確認することは可能ですので原理的にはユーザの総残高を計算することは可能です。

しかしながら、API のレートリミットがありますので、全ユーザのアドレスに対してクエリを行うのは現実的ではなく、公式で PoR 情報を公開すべきでしょう。

破綻時の処理

CEXであれば万が一の経営破綻時には、設立された国の司法手続きに則り債権者への債権の分配が行われますが、法人主体のない運営母体による取引所の場合、どのように処理がなされるのかが不明です。

ユーザの資産はArbitrumチェーンのBridge2コントラクトにロックされているため、運営が勝手にチョンボすることは簡単にはできないと思いますが、コントラクトのバグやHyperliquid L1チェーンのハッキングなどによりユーザ資産が毀損してしまう可能性はゼロではないでしょう。

もっとも、DeFi のハッキング自体は毎日のように発生しており、そうなった場合に運営が補填してくれるケースもゼロではありませんが、Hyperliquidに$2B以上ロックされている現状では補填するのは不可能だと思われます。

Hyperliquid L1チェーンの詳細や実装に関してはほとんど公開されておらず、(後述しますが)監査もおそらく実施されていないため、ユーザがHyperliquid L1チェーンの安全性を見極めるのはほぼ不可能です。

なぜCEX(に近い)と思うのか?

それでは本題として、なぜHyperliquidがCEX(に近い)と思うのかを(冒頭のX上のポストに補足する形で)列挙していこうと思います。

Hyperliquid L1チェーンはプライベートチェーンである

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