【大口投資家が出金】Binanceのリスクまとめ。

こんにちは。デフィ壱拾参号です。
最近はFTXの崩壊によって、CEXが顧客資産を流用していないか、十分に支払い能力を持っているかなどの不安を抱いている方が多いと思われます。それは取引所最王手のBinanceも例外ではありません。
本記事では今週あったBinanceの出金騒動と、預入に関するリスクを調査しました。

出金がとまらないBinance

今週だけでBinanceからの出金は60億ドル以上に膨れ上がり、顧客預かり資産が大幅に減少しました。その中には大口投資家であるJump Tradingも含まれており、引き出しの急増を受けてBinanceは一時的にUSDCの出金を停止しました。

Binance CEOのチャンポン・ジャオ氏(CZ)はtwitterで「いつも通りのことだ。」とコメントしましたが、従業員に対しては「この先数週間は困難なものになる」とコメントしたこともリークされています。

マネロンに関与した可能性

12月12日、ロイターは、米司法省が暗号通貨取引所であるBinance及びCZ氏をマネーロンダリング関与及び刑事制裁違反の疑いで捜査しているというリーク記事を発表しました。

ロイター:米国司法省、Binance への請求を巡って割れる意見

ロイターは今年の6月にもBinanceがマネーロンダリングに関与している可能性があると報じており、今回が今年2回目の報道になります。

この報道を受けてBinanceは、twitterで「ロイターはまた間違いを犯しました。今度は我々の素晴らしい法務部を攻撃しています。」と表明。

CZ氏は「FUD(不安煽り)は無視して、構築を続けます!」とコメントしました。

準備金に関する監査

我々ユーザーにとって最も気になるのは「Binanceには準備金があり、我々が預けている資産は安全なのか?」この一点に尽きると思います。
ここでバイナンスが11月25日に発表した、準備金に関するレポート「Proof of Reserves」を確認してみましょう。
このレポートによると、11月22日時点での顧客のビットコインの純残高が575,742.4228BTCであるのに対して、バイナンスはオンチェーンで582,485.9302BTCのを確保しており、顧客の預かりに対して101%の資産を保有していることが報告されています。
この報告が正しいとすれば、バイナンスはしっかりと準備金を確保しており、一見安心できるように思えます。注意すべきは、このレポートは会計事務所であるMazars Groupを通して監査されたものであり、Mazars Groupがどれだけ信用できるかも考慮すべきだということです。

Mazarsへの信頼度

さて、Binanceの監査を支援した会計事務所、Mazars Group の信用度についてですが、この事務所は前アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏の会計事務所として比較的有名なようです。
Mazarsは11月下旬に Binance の Proof of Reserves(PoR) の公式監査人として任命され、それに続いてKuCoin や Crypto.com を含む複数のCEXもMazarsを通して監査を行っていたようです。
ところが、アメリカにはビッグ4と呼ばれている有名な4大会計事務所があるようですが、Mazarsはそのなかに名を連ねていません。なぜPoRにビッグ4を採用しなかったのかという疑問に対してBinanceは次のように回答しています。

「ビッグ4を含む複数の大手監査会社に連絡を取りましたが、それらの代表は現在、非公開の暗号通貨会社のための PoR を実施する予定はないと述べています。マークルツリー PoR は、バイナンスの管理下にあるオンチェーンアドレスに顧客の資産が存在することを実証するものです。」

大手監査会社が監査を断ったために、Mazarsに依頼することになったようです。

監査を中断したMazars

12月17日現在、 Mazars Group のウェブサイトではBinanceの「Proof of Reserves」のページは非公開になっています。また、Mazars Group は、Binance およびKuCoinやCrypto.comを含むその他の暗号通貨クライアントとのすべての作業を一時停止すると発表しました。

参考:MazarsによるProof of Reserveの検証アーカイブ

Binanceに関する監査は Bitcoin の準備金に対して行われましたが、準備金の大部分を占めるBNBやUSDC、Tetherなどの監査は途中でした。暗号資産の会計は非常にややこしいので、日本の会計事務所でも断られることは多々ありますが、なぜこのタイミングで監査を中断したのかは不明ですね…

FTTを保有していたBinance

12月16日、CZ氏はCNBCにてNYタイムズの編集者であるアンドリュー氏と対談を行っています。
その中で、2021年にBinanceはFTXの株をFTX社に売却し、FTTで受け取っていることについて触れられていました。売却時にバイナンスが保有していたFTTは21億ドルにも及びましたが、現在では価値がほぼなくなってしまったようです。

BinanceのTVL

オンチェーン追跡サイトであるDefiLlamaでは、CEXのTVLを確認することができます。
TVL (Total Value Locked) :ブロックチェーン上にどれだけ資産がロックされているかを表す指標

グラフからは一週間で10Bドルが引き出されていることが読み取れますが、それでも56Bドルは確保されています。取付騒ぎというにはまだ早そうです。

さいごに

今回はBinanceについてのリスク調査を行いましたが、ユーザーとしては、Binanceのようにハイレバレッジ取引が可能なCEXはちゃんとしたProof of Reserveがないとやはり不安に感じてしまします。逆に、ここまでBinanceに関するFUDが大量に集まっているのは、そうして得をする第三勢力があるのではないかと勘ぐってしまうほどです。
Binanceはそちらの対応に追われているので、日本進出が先延ばしになりそうなのは不幸中の幸いなのかもしれません。
オンチェーンデータから見ると、まだまだ預かり資産はありそうですが、Binanceの出金騒動を見ると、FTXの悲劇を連想してしまうのもまた事実です。
不安な方は、資産をコールドウォレットに保管しておくことをお勧めします。

引用

サムネイルのダムの画像

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