【投資戦略】無期限先物のファンディング・レートによるアービトラージ

こんにちは!弐号です。

今回は無期限先物市場 (Perpetual Swaps) におけるファンディング・レート (Funding Rate、以下「FR」) を用いたちょっとアドバンスドな投資戦略を紹介します。

無期限先物とFR

国外の取引所を中心として、無期限先物市場があり、取引高の多くを占めるようになっています。

無期限先物では現物のインデックス価格との連動を目指すためにポジション保有者に対して Funding Rate (FR) と呼ばれる一種のスワップ金利を課しています。

現物市場よりも無期限先物市場の価格が高い場合には、ショートを誘発するためにロンガーからショーターへの金利の支払いが定期的に発生し、逆に価格が低い場合にはショーターからロンガーへの支払いが発生します。

BybitにおけるBTC/USD市場の2023年1月30日付近の実際の FR は以下のようになっています。

「資金調達率」と書かれているのがFRであり、8時間ごとの利率の支払いがおおむね0.01%ほどであることが分かります。

FRがプラスの場合にはロンガーからショーターへ、マイナスの場合にはショーターからロンガーへ支払うことを意味しますので、この場合にはロンガーからショータへ年率約10%ほどの利払いがされています。

したがって、Bybitの無期限先物市場でビットコインのショートポジションを持てば年率10%の割合で利殖ができることになります。

デルタ・ニュートラルポジションの構築

しかし、単純にショートポジションを持ってしまっては、ビットコインの価格変動によって大きく損失を出してしまう可能性があります(逆に儲かる可能性もありますが……)。

これを回避するためには、別の市場で同じ枚数の逆向きのロングポジションを持てば、全体としてデルタニュートラルを達成することができます。

これには現物市場で現物を購入してもいいですし、マージン市場でもドルの金利が安ければ問題ありません。

また FR は取引所ごとに変わりますので、FRのなるべく低い別の市場でショートポジションを取ることも選択肢として考えられます。

このようにロングポジションとショートポジションを同数持つことでデルタニュートラルを達成しつつ、高い利回りを得ることができます。

これはFXなどでスワップ金利の高い業者と低い業者で同時に逆方向のポジションを取ることでアービトラージを行うのと一緒ですね。

なぜアービトラージできるのか?

一般的に、アービトラージは無リスクで儲けることができますので、すぐに人が殺到しアービトラージ機会は非常に薄くなってしまいます。

しかし、無期限先物を用いた金利のアービトラージ戦略は比較的有効な手段となっています。

これはなぜかというと、FR はそもそも理論的にはドルの短期金利とコインのレンディング金利で決まるわけですが、無期限先物市場ではアービトラージを行うプレイヤーよりも価格変動により利益を取ろうとしている投資家が圧倒的に多いため、十分なアービトラージがなされていないと考えられます。

将来的にはアービトラージ機会が少なくなっていくことも考えられますので、できるうちにやっておくのがいいでしょう。

また、もう一つの理由としては、デルタニュートラルとはいえ多少リスクがあることです。

それは、ポジションを取るのにスリッページや取引手数料といったコストが発生するため、そのコストを打ち消すことができるくらいの十分長い期間ポジションを持ち続けないといけないわけですが、FRは流動的に変わっていきますので、いまは年率プラス10%程度で推移していたとしても、明日はマイナスになってしまうかもしれません。

そうすると、FRが再度プラスに転じるのを待つか、ポジションを解消することが求められるわけですが、どちらを選択するとしてもコストがかかるため、FRが不安定だとむしろ損をしてしまう可能性もあります。

こういった事情もあって、アービトラージ機会が失われていないものだと推測されます。

特に、大きなポジションを取ろうとすればするほど、スリッページによるコストの支払いが増えてしまいますので、あまり大きなポジションを取るのは難しいと言えます。

ですのでみなさんもこうした問題点に注意しつつ、一つの武器としてこのFRアービトラージを投資戦略として組み込んでくださいね。

それでは良いDeFiライフを!

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