ZAMAとは?FHEを活用した次世代プライバシープロトコルの概要

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こんにちは、デフィー 弐拾壱号です。

ブロックチェーンの魅力は透明性と公開検証性にありますが、その強みが同時に弱点ともなっています。

すべての取引や残高が誰でも確認できる環境では、金融機関や企業が安心して利用するにはハードルが高いのが実情です。

こうした課題に対し、完全準同型暗号(Fully Homomorphic Encryption / FHE)を実用レベルに引き上げたのが「ZAMA」です。

ZAMAは2025年にユニコーン企業の評価を獲得し、暗号技術とブロックチェーンの橋渡しを進めています。

本記事では、ZAMAの概要、仕組みや特徴、トークン設計、そして将来展望について詳しく解説します。

ZAMAとは


ZAMA 公式HP参照

概要

ZAMAはフランスを拠点とする暗号技術企業であり、完全準同型暗号をブロックチェーン上で実用化することを目的に設立されました。

完全準同型暗号とは、データを復号せずに暗号化されたまま計算できる仕組みです。

長年理論的な研究は続けられてきましたが、計算コストの高さから実用化は困難とされてきました。

ZAMAはこの「夢の技術」を大幅に最適化し、金融やAIなど幅広い分野に応用可能な形へと進化させています。

さらに2025年6月には、Blockchange VenturesやPantera Capitalなど著名な投資家から5700万ドルを調達し、累計資金は1億5000万ドルを突破しました。

この結果、評価額は10億ドルを超え、FHE領域で初のユニコーン企業となりました。

プロジェクトの目的

ZAMAの最大の目標は「プライバシーと透明性の両立」です。

従来のパブリックチェーンは誰でも取引を検証できる一方で、すべてのデータが公開されてしまうという課題を抱えていました。

この問題は個人投資家にとどまらず、機関投資家や銀行にとっても大きな参入障壁となっています。

ZAMAはFHEを基盤とすることで、ユーザーのデータを秘匿しながら、公開チェーンならではの分散性と相互運用性を維持することを可能にしました。

つまり「誰でも検証できるが、中身は誰にも見えない」という理想的な環境を実現するのです。

仕組み&特徴


ZAMA 公式HP参照

FHEVMによる機密スマートコントラクト

ZAMAの中核は「FHEVM」と呼ばれる仮想マシンです。

これはSolidityを拡張し、通常の数値型に加えて暗号化されたデータ型(例:euint、ebool、eaddress)を利用できるようにしています。

開発者は従来のスマートコントラクトと同じ感覚で、データを常に暗号化状態のまま処理できます。

その結果、残高や取引額が外部に漏れることなく、従来のDeFiアプリケーションともシームレスに接続可能となります。

FHEVMはオンチェーンとオフチェーンで役割を分担する構造を採用しています。

チェーン上では象徴的な実行(ハンドルによる処理)が行われ、実際の重い暗号計算は専用のコプロセッサが担当します。

このアーキテクチャにより、ガスコストを抑えつつ複雑な計算が可能になります。

具体例として、FHEVM上で構築された分散型取引所(DEX)では、ユーザーがどの銘柄をいくら取引したかを外部に知られることなく流動性を提供できます。

また、医療データを扱うスマートコントラクトであれば、患者の個人情報を公開せずに研究目的の計算処理が可能になります。

高度なセキュリティモデル

ZAMAは暗号的な強度だけでなく、運用面での安全性にも注力しています。

鍵管理には13台のノードによる閾値型MPC(Multi-Party Computation)を採用し、2/3以上の合意がなければ復号できない仕組みを導入しています。

さらにAWS Nitro Enclavesを組み合わせ、物理的侵入やサイドチャネル攻撃への耐性も強化しています。

将来的にはZK証明を加えることで、FHE計算の正しさを完全に公開検証可能にする構想も示されています。

加えて、アクセス制御の柔軟性も大きな特徴です。

スマートコントラクトの記述時に「誰が」「どのデータを」「いつ復号できるか」を細かく設定できます。

この柔軟に設定可能なプライバシーは、規制対応や企業利用に不可欠な要素です。

応用例としては、銀行間送金で特定の監査機関だけが取引内容を確認できる設定や、保険契約において事故時のみ限定的にデータを開示する仕組みが考えられます。

スケーラビリティとクロスチェーン展開

ZAMAは性能面でも段階的なロードマップを描いています。

現在は20tps程度ですが、GPUを活用すれば50〜100tps、FPGAで500〜1000tps、最終的には専用ASICチップにより1万tps以上の処理性能を目指しています。

これにより、決済や高頻度取引といった大規模ユースケースにも対応可能となります。

さらにZAMAは新しいチェーンを立ち上げるのではなく、EthereumやArbitrumといった既存のL1/L2に「機密性レイヤー」として統合されます。

2025年第4四半期にはEthereumメインネットでのローンチが予定されており、その後はSolanaなどへの展開も計画されています。

このクロスチェーン戦略により、既存のDeFiエコシステムへ即座に接続できるという強みを持ちます。

例えば、Ethereum上で発行されたステーブルコインをFHEVM経由で暗号化したままSolanaにブリッジし、Solana上のアプリケーションで安全に利用するといったシナリオが現実的になります。

トークンについて


ZAMA 公式HP参照

トークン概要

ZAMAは2025年末に独自トークン「$ZAMA」をリリース予定です。

現時点では市場で流通しておらず、TGE(トークン生成イベント)後に上場が見込まれています。

トークン設計の大枠としては、手数料支払やステーキング、ガバナンス参加に利用される予定です。

ユースケース

$ZAMAトークンの主な用途は以下の通りです。

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