変動損失(インパーマネント・ロス)の注意点

DeFiにおけるAMMで運用を行う場合に発生する可能性のある損失である「変動損失(インパーマネント・ロス)」について説明します。

AMMでは年利数十〜数百%もの高利率で運用できることもありますが、変動損失を考慮しないと場合によっては損をしてしまう場合もありますので、AMMでの資産運用を検討している方はぜひこの記事を読んで変動損失について正しく理解しましょう!

AMMの仕組みのおさらい

変動損失を理解するためには、まずはAMMの仕組みをきちんと押さえておく必要がありますので、まずは変動損失を理解するのに最低限必要なAMMの仕組みについて解説します。

AMMの仕組みについてちゃんと知りたい!というかたはこちらの記事を参照してくださいね。

AMMとは?

まず、AMMとは2つのコイン(流動性)を選択し、そのコイン(通貨ペア)をAMMに入金することで、その通貨ペア同士の交換を行いたいユーザに対して在庫としてのコインを提供することで、その見返りに取引手数料をもらう、というDeFiの仕組みの一種です。

例えばUSDCとETHの2つのコインをデポジットすると、USDCでETHを買いたい、もしくはETHを売ってUSDCにしたい、というユーザが実際に交換をした際に取引手数料がもらえます。

このとき、USDCとETHをデポジットしたユーザは、支払ったコインの替わりに「USDC-ETH」という名前のLPトークンをもらうことができます。

LPトークンは、提供した流動性プールの中での自分の保有残高のシェア(割合)に対応しているトークンであり、もしAMMでの運用を終了する場合に、このLPトークンをDeFiプラットフォームへ返却(※一般的にはバーンされる)することで、元のコイン(今回はUSDCとETH)を返してもらうことができます。

LPトークンと、預け入れコイン枚数の関係

さて、このとき問題になるのが「1単位のLPトークンが、何枚の元の2つのコインに対応するのか?」ということです。

なぜこれが大事かというと、LPトークンをもらったあとに誰かがコインの交換を行うと、その交換枚数分だけ流動性プールにデポジットされているコインの枚数が変化していってしまうからです。

例えば、100ETHと100,000USDがデポジットされている流動性プールがあったとします。

このとき、もしユーザが1,000USDCを支払って1ETHをこの流動性プールを用いて交換したとすると、交換後の流動性プールの残高はそれぞれ99ETHおよび101,000USDCとなります。

さて、この交換が行われたあとにLPトークンをDeFiプラットフォームに返却してコインを返してもらう際に、DeFiプラットフォームはUSDCとETHをそれぞれ何枚返却すればいいでしょうか?

もし、預け入れたときと同じだけのコインを返却するとなると、全ユーザがこの流動性プールから資金を引き上げようとしたら、もともとは100ETHあったのが、いまは99ETHしかありませんので、1ETH分足りなくなりますね。

また逆に1,000USDC分が余ることになってしまいます。

そのため、DeFiプラットフォームは流動性供給者に対して、もとの預け入れコインと同じ枚数を返却することはできません。

定数積 (constant product) 型

それではどうしたらいいかというと、様々な方式を考えることができますが、一般的に用いられているのは、いわゆる「定数積型 (constant product formula)」と呼ばれる方式です。

この方式では、ユーザは2つのコインを預け入れる際、流動性プールにすでに預け入れられている2つのコインの枚数の比率と同じ比率でコインを入金する必要があります。

ここから先は、会員限定のコンテンツになります。残り全てを見るには、サロン入会案内ページから会員登録をよろしくおねがいします。

関連記事