Whales Marketの理解を深める 前編

サムネイルの引用元:Whales Market

はじめに


引用元:Delphi Digital
本記事では、ポイント市場やOTC市場、プレローンチ市場で多くのユーザーを抱えるWhales Marketについて解説します。2024年の暗号資産市場は、BitcoinやEthereumのETF承認の流れを受けて、回復基調にあります。加えて、Starknet、Zksync, BlastといったEthereumのスケーリング手法であるLayer2のプロジェクトを中心にエアドロップが配布され、2024年以前から参入されていたクリプトユーザーにとっては、嬉しい年であったかもしれません。

またそのエアドロップ市場にも大きな変化がありました。それはプロジェクトが発行するポイントの存在です。例えば、Arbitrumトークンのエアドロップを例とすると、ネットワーク上で取引高や取引回数などプロジェクト側が予め設定していた基準に基づいて、トークンがユーザーに配布されました。ZksyncやStarknetでもこの方式は踏襲されていますが、その一方EigenLayerやBlastなどのエアドロップではポイント制度に基づいて、配布されるトークンの量が決定されています。あくまでポイントは将来的にプロジェクトのトークンに変換される可能性を表す指標に過ぎないことには注意が必要です。

しかしこのポイント制度は、プロジェクトの利用、貢献度合いを一目で確認することができ、空前の盛り上がりを見せました。2024年に登場したクリプトプロジェクトの多くが、このポイント制度を採用しています。このポイント制度に目をつけたのがWhales Marketです。Whales Marketでは、このポイントの売買を可能にしたのです。Whales Marketではこのほかにもプレローンチ市場やOTC市場など流動性の低い特殊な資産の取引をより容易にする様々な市場を設計しており、本記事ではその1つ1つを詳しく説明します。

流動性の低い暗号資産市場の課題

さて、Whales Marketの仕組みについて解説する前に、ポイント制度やエアドロップ配分、ホワイトリストなどの流動性の低い資産の特性や課題について説明をし、その理解を深めます。上記の資産はUniswapで流通するような現物トークンとは異なり、通常、店頭(OTC)市場で取引されます。この場合、ユーザー同士が直接交渉し、その取引プロセスについて合意を形成します。しかし、この方法には重大な課題があります。それは信頼性の問題です。というのも取引相手が実際に指定された資産を保有しており、合意した取引後に確実に引き渡すという保証がないため、参加者間の信頼が極めて重要になります。

さらに、これらの取引にはセキュリティの欠如、流動性の低さ、価格発見の困難さ、法的リスク、取引の不透明性などのさまざまな問題点があることにも注意が必要です。非公式なチャットルームやソーシャルメディアでの取引は、詐欺や不正行為に対して、極めて脆弱であり、適切な取引プラットフォームがないため、買い手と売り手のマッチングが困難です。統一された市場がないため、公正な価格を見つけるのが難しくなっており、非公式な取引は規制上の問題を引き起こす可能性があります。また、取引の詳細が公開されないため、市場の透明性が低くなっています。これらの課題に対して、両者にとって安全な取引を可能にし、不正行為を防ぐ、信頼する必要のない第三者を確立することが急務となっており、これこそがWhales Marketが実現しようとしていることなのです。

Whales Marketの概要と特徴

Whales Marketは、前述の課題に対処するために、設計された新しいプラットフォームです。流動性の低い資産の取引をより安全で、誰もがアクセス可能なものにすることを目的としています。Whales Marketは、OTC取引を統一されたプラットフォームに集約することでこの問題に取り組んでいます。まず、買い手と売り手の双方が相互に合意したオンチェーン取引に参加します。資金はスマートコントラクトで保護され、取引が正常に完了した場合にのみ関係者に分配されます。この機能は取引プロセスを簡素化するだけでなく、不正行為に起因する金銭的損失の可能性を大幅に低減します。Whales Marketは、3つの主要な市場タイプをサポートしています。プレローンチ市場、OTC市場、ポイント市場です。それぞれの市場は独自の特徴と仕組みを持っており、流動性の低い暗号資産の取引に関する特定の課題に対処しています。

プレローンチ市場の仕組み


引用元:Whales Market
さてここからは先述したプレローンチ市場について、詳しく解説します。Whales Marketはポイントの取引で躍進した経緯もありますが、それ以外にプレローンチ市場やOTC市場でもさまざまな機能を展開しており、以下ではまず、そのプレローンチ市場について詳しく解説します。Whales Marketのプレローンチ市場、つまりまだ正式にローンチされていない資産の安全な取引を可能にするための市場です。それでは、プレローンチ市場の詳細な仕組みを説明します。

1.オファーの作成

プレローンチ市場での取引は、売り手がオファーを作成することから始まります。売り手は、将来リリースされるトークンの数量と価格を指定してオファーを作成します。このオファーを裏付けるために、売り手は指定された金額の担保(通常はステーブルコイン)をスマートコントラクトに預け入れます。この担保は、売り手が約束を守らなかった場合の保険として機能します。

2.オファーの受諾

買い手は、Whales Marketのプラットフォーム上で公開されているオファーを閲覧することができます。条件に同意する買い手がいれば、そのオファーを受諾します。オファーを受諾する際、買い手はオファーに記載された金額をスマートコントラクトに預け入れます。

3.待機期間

オファーが受諾されると、取引は「保留中」状態となり、トークン生成イベント(TGE)まで待機します。この待機期間中、どちらの当事者も資金を引き出すことはできません。これにより、取引の安全性が確保されます。

4.トークン生成イベント(TGE)

プロジェクトが正式にトークンをリリースすると、Whales Marketのシステムがこれを検知し、24時間のカウントダウンが開始されます。この24時間は、売り手がトークンを引き渡し、取引を完了させるための期間です。

5.決済プロセス

TGE後、売り手は約束したトークンをスマートコントラクトに送信します。スマートコントラクトは、トークンを受け取ると自動的に検証プロセスを実行します。検証が成功すると、スマートコントラクトは受け取ったトークンを買い手に送信し、同時に買い手の支払いを売り手に送信します。このプロセスは完全に自動化されており、人為的介入の余地がありません。

以上が、Whales Marketにおけるプレローンチ市場の具体的な仕組みになります。後編では、ポイント市場やOTC市場について前編と同様に詳しい解説を行います。

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