ゼロクーポン債売買プロトコル「Pendle」

サムネイル引用元:Pendle v1 Dashboard(Pendle公式)

こんにちは!弐号です。

$ETH や $USDT などのゼロクーポン債を売買できる「Pendle」というプロトコルについて、ゼロクーポン債の金融工学的側面も含めて解説します。

Pendleとは?

Pendle は $ETH や $USDT などの利回りの存在するトークンのゼロクーポン債(ストリップス債)を販売するプロトコルです。

ゼロクーポン債とはその名前の通り、利子(クーポン)の支払いがない債券であり Lido の $stETH などのように定期的にステーキング報酬を貰えるわけではありません。

その代わりとして投資額よりも多いコインを償還時にもらえることになります。

ストリップス債とは利払いのある債券をクーポン部分と元本部分に切り離し、それぞれをゼロクーポン債として販売されたものです。

米国債などではストリップス債が発行されており、多くの証券会社で購入することができます。

Pendle を利用することで、こうしたストリップス債を売買することが可能です。

例えば上のスクリーンショットのように 100 USDT を償還期限が 347 日後のゼロクーポン債に投下した場合には、ETH 価格が現在と変わらないと仮定した場合にはこのように $9.51 分が追加で支払われ、$109.51 を得ることができます。

ゼロクーポン債の理論価格

ゼロクーポン債の理論価格は一般に、以下のように表されます。

\displaystyle
\frac{x}{(1 + r)^n}

ここで x は元本の金額、r は元本に対する利払いの金額の比率、n は利払いの回数です。

詳細は「ストリップス債(ゼロクーポン債)」(拙著Note記事)などを参考にしてください。

具体的に計算してみましょう。

Lido の stETH の利回りは APR で 4% ほどですから、上のスクリーンショットのパラメータでは元本に対するゼロクーポン債の理論価格の比率は

\frac{1}{(1 + 0.04 / 365)^347} = 0.9627

となります。

スクリーンショットの金額で計算するとゼロクーポン債の販売価格は

\frac{100}{100+9.51} = 0.9132

ですから、一見するとかなり割安な価格で販売されているように感じます。

なぜ割安な価格となっているかと言うと、スクリーンショットで表示されている償還時の期待収益は $PENDLE トークンというインセンティブ報酬込みでの金額となっているからです。

インセンティブ報酬をもらうためには $PENDLE を購入してからある期間ロックすることで $vePENDLE を保有する必要があります。

ドキュメンテーションにどのくらいの量の $vePENDLE を保有していればインセンティブ報酬が貰えるのかの記載がありませんでしたので少額でもよさそう(試していないのでわかりません)ですが、将来的には変更されるかもしれません。

Pendle を利用するメリット

ゼロクーポン債のメリットとして一番はじめに上げられるのは

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